美の象徴

美人は三日で飽きると言いますが、この言葉に関する解釈は人によって様々です。言葉通り、美人な人の顔は三日見ただけで飽きてしまうと考える人もいるでしょう。これは一般論などではなく、ある一部の人にだけ適用することができると考えている人もいるかもしれません。もしくは言葉の裏側を読み取り、美人とは言えない人のことは飽きることなくいつまでも見ていられると捉える人もいるでしょう。どれもこれも女性の顔の造作に関して述べるのであれば大変な失礼に当てはまりますが、しかし案外この解釈は間違ったものばかりではありません。

美人と言われてパッと頭に浮かぶのはどういった姿形でしょうか。女性の顔として考えるのであれば、きらびやかに華があり、地味か派手かと言われれば当然派手な部類の造作を思い起こすはずです。美人とは文字通り美しい人の事を指しますが、しかしこの場合の美については非常に偏った見解が当てはめられているのではないでしょうか。

ものの美しさには種類があります。派手で華のある姿は美しさの一つの種類であり、素朴ながらも儚い美しさを誇るものは世の中にたくさん溢れています。例えば草木や花はこういった日本の風情的な表現を手助けしてくれる象徴的なものですが、派手な美しさと儚い美しさのそれぞれの代表と言えばバラと桜が挙がるでしょう。

バラには豪華で派手なイメージがつきものです。特に真紅のバラはきらびやかな場面に最もふさわしい花であると言えるでしょう。一方で桜は散る姿さえも美しいと言われ、古い時代から日本人の心に寄り添ってきた儚い美しさです。この二つを見比べた時、派手ではない桜を不細工であると言う人はいるでしょうか。むしろ日本人にとってはより桜の方が馴染みのある植物であり、誰からも確実に愛される美しさの象徴なのです。

このように、派手であるからこそ万人に共通して好まれるという考え方は少々誤りがあるかもしれません。そしてこの考え方は何も植ものにだけ言える事ではなく、どんなことにも同じように当てはまります。

最近流行りのものはいくつもあります。派手か地味かをはかるうえではスイーツのように見た目も重視される食べものが分かりやすいでしょう。特に近頃は若い女性の間でパンケーキが大ブームを引き起こしていますが、人々が最初に耳や目を向けるのはどうしても色鮮やかなパンケーキで、クリームやフルーツを大きく盛り付けているなど、パッと目に飛び込んでくるときのインパクトで人の注目を集めています。

ですがやはり最後に勝るのは、桜のようにおしとやかな味わいのあるパンケーキではないでしょうか。シンプルながら味があり、食べ終わる瞬間までも心に残るスイーツです。シンプルなパンケーキと儚い桜は、誰の目から見ても確かに美しく映るのでしょう。